「世界金属熱処理と表面工学大会」(IFHTSE World Congress)は、国際金属熱処理業界と表面工学分野において最高レベルの学術大会です。第30回大会は2025年8月19日から22日にかけて蘇州で開催され、このシリーズ会議が中国で5回目の開催となりました。7年間を経た今回は、我が国がこの分野で数多くの画期的な進展を遂げました。今回の大会には40ヵ国以上から約1000人の業界代表者が集まり、最新の成果と業界動向について議論が交わしました。

この国際的なイベントにおいて、江蘇豊東が業界をリードする企業として積極的に参加し、ハイレベルの論文を13本も発表しただけでなく、专题フォーラムで先端技術と実践経験を共有して、多くの関心を集めました。
大会基調講演

1.干勇 院士(中国鋼研科技集团有限公司、中国工程院)
2.Prof. Massimo Pellizzari,IFHTSE主席, University of Trento
——Impact of Heat Treatment and Nitriding on the Properties of Additively Manufactured Tool Steel
3. 張福成 院士(華北理工大学、中国工程院)
——Research Progress of High Manganese Steel
4.Prof. Marcel A. J. Somers, IFHTSE執行委員,Technical University of Denmark,
——Thermally Activated Martensite Formation; an Exception or the Rule?
5.韓恩厚 院士(華南理工大学、中国工程院)
——Surface Technologies to Control Corrosion - Progress and Trends
6.Prof. Yoichi Watanabe, JSHT副主席, Nihon Parkerizing Co., Ltd.
——Current Status and Prospects of Surface Heat Treatment Technologies Utilizing Nitrogen Effectively


金属熱処理と表面工程装置の特別フォーラム(江蘇豊東PART)
『精密制御可能雰囲気熱処理及びその省資源化技術』
本大会では、江蘇豊東の韓伯群副総経理が司会を務めた熱処理と表面工程装置特別フォーラムは、多くの注目を集めました。韓伯群副総経理は、『精密制御可能雰囲気熱処理及びその省資源化技術』との講演テーマで、江蘇豊東が近年、グリーン製造、低炭素及び「炭素排出ピークアウト・カーボンニュートラル」戦略という背景のもと、精密制御可能雰囲気熱処理及び省資源化における研究開発と応用状況を紹介しました。
講演では、江蘇豊東がコンピュータ支援設計ソフトウェアを用いて、装置の温度場と気流場を精密に設計・最適化し、浸炭炉の温度と雰囲気の均一性を効果的に向上させたことが紹介されました。豊東開発の6トン大型真空パージ式雰囲気制御可能多用炉は、前室の真空パージ方式を通じて、ワーク投入時の空気持ち込みの大幅減少、内部酸化の抑制、雰囲気の迅速回復ができ、またフレームカーテン不使用が設計されて、装置自体がより安全で、自動化程度がさらに高くなっています。
同時に、江蘇豊東が開発した雰囲気回収装置は、浸炭炉のガス消費量が約30%の削減に成功しました。熱処理の廃熱回収技術は、5-10%の総合的な省エネルギー効果を実現できました。さらに、LMS/FMSスマート管理システムの開発と応用に成功したことは、熱処理製品の生産プロセスにおける全工程のデジタル化とスマート化管理ができ、業界のスマート化の発展を大きく推進しています。

『高濃度深層真空浸炭浸窒熱処理プロセスに関する研究』
江蘇豊東加工事業部の張志沖部長は、大会上で『高濃度深層真空浸炭浸窒熱処理プロセスに関する研究』と題する講演を行いました。
講演では、研究チームが光学顕微鏡、電子プローブ微小部分析(EPMA)、スペクトル成分分析、残留オーステナイト測定、硬度/硬化深度テスト等複数の検査方法で、18CrNiMo7-6 カムシャフトの真空浸炭(970°C)ガス冷却、窒化、焼入れ、低温焼戻し後の性能を全面的に分析したことが紹介されました。結果として、このプロセスを処理されてから、ワーク表面の微細組織は、主にマルテンサイト、残留オーステナイト、分散した炭窒化物から構成され、有効硬化深度が約1.8mm、表面炭素含有量が1.2%、窒素含有量が0.76%、表面硬度が60 HRC以上、残留オーステナイト量が約25%であることがわかりました。この研究成果は、表面硬度の向上と残留オーステナイト量の増加が矛盾したことをうまく解決して、関連業界の熱処理プロセスの最適化に重要な知見を提供しました。

創新で実力を鍛える
今回は、江蘇豊東が技術チームを作り、第30回世界熱処理と表面工程大会に積極的に参加して、熱処理業界内の専門家から先端的技术研究成果を学べると同時に、自社の近年の製品研究開発分野における進展と実践を共有しました。今後も豊東は、技術の研究開発に続けて取り組み、業界進歩の推進に更なる貢献をしていきます。


付録:豊東グループ熱処理大会論文リスト
1. 韓伯群(江蘇豊東) 『精密制御可能雰囲気熱処理及びその省資源化技術』
2. 張志冲(江蘇豊東) 『高濃度深層真空浸炭浸窒熱処理プロセスに関する研究』
3. 蘇陽(江蘇豊東) 『浸炭窒化プロセスがGCr15軸受製品の組織及び性能に与える影響』
4. 王松明(石川島豊東) 『産業用ロボット部品の真空浸炭熱処理--RV減速機サイクロイドギヤの真空浸炭処理』
5. OKyosuke Matsuda(日本高周波) 『中炭素鋼の高周波熱処理における組織、転位密度が硬度と靭性に与える影響』
6. 顔培慶(煙台豊東) 『BBH-6000真空パージ式多用炉による風力発電深層浸炭プロセスへの応用』
7. 李丹(青島豊東) 『316Lオーステナイト系ステンレス鋼の低温ガス軟窒化の水素エネルギー装置への応用』
8. 邢雪(青島豊東) 『20CrMnMoスラリポンプ弁座の低温衝撃値変動原因及び改善プロセス』
9. 由義田(青島熱工)『浸炭焼入れ過程における内部酸化改善措置の探究』
10. 徐志斌(青島熱工)『イオン窒化技術の水素エネルギーエンジン重要部品への高付加価値応用』
11. 張登坡(濰坊豊東)『浸炭層の混晶現象及び改善方法』
12. 王浩存(濰坊豊東)『アセチレン裂解に基づく高活性窒素炭素共滲新プロセス研究』
13. 宋建(濰坊豊東) 『16Cr3NiWMoVNbE歯車鋼の浸炭窒化プロセス研究』